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里親委託ガイドライン

 雇児発0330第9号 平成23年3月30日

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・通知文

1 .里親委託の意義   Plain_ble_Right.gif
2 .里親委託優先の原則 Plain_ble_Right.gif
3 .里親委託するこども Plain_ble_Right.gif
4 .保護者の理解    Plain_ble_Right.gif
5 .里親への委託    Plain_ble_Right.gif
6 .里親の認定・登録  Plain_ble_Right.gif
7 .里親家庭への支援 Plain_ble_Right.gif
8 .子どもの権利擁護 Plain_ble_Right.gif
9 .里親制度の普及と理解の促進 Plain_ble_Right.gif
10.里親委託及び里親支援の体制整備 Plain_ble_Right.gif


(改正後全文)雇児発0330第9号
平成23年3月30日
【一部改正】平成23年 9 月 1 日雇児発0901第3号
【一部改正】平成24年 3 月29日雇児発0329第3号
都道府県知事
各 指定都市市長 殿
児童相談所設置市市長
厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

里親委託ガイドラインについて

里親制度の運営については、児童福祉法(昭和22年法律第164号)等の関係法令及び平成14年9月5日雇児発第0905002号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「里親制度の運営について」、平成2年3月5日児発第133号厚生省児童家庭局長通知「児童相談所運営指針」等に基づき行われているところであるが、今般、各都道府県、指定都市、児童相談所設置市及びその児童相談所並びに里親会、里親支援機関、児童福祉施設等の関係機関が協働し、より一層の里親委託の推進を図るため、別紙のとおり「里親委託ガイドライン」を定めたので、積極的な取組をお願いする。
なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。

里親委託ガイドライン

1.里親委託の意義

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里親制度は、何らかの事情により家庭での養育が困難又は受けられなくなった子ども等に、温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下での養育を提供する制度である。家庭での生活を通じて、子どもが成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行うことにより、子どもの健全な育成を図る有意義な制度である。

近年、虐待を受けた子どもが増えている。社会的養護を必要とする子どもの多くは、保護者との愛着関係はもとより、他者との関係が適切に築けない、学校等への集団にうまく適応できない、自尊心を持てないなどの様々な課題を抱えている。また、望まない妊娠で生まれて親が養育できない子どもの養育が課題である。子どもを養育者の家庭に迎え入れて養育を行う家庭養護である里親委託が、これまでよりさらに積極的に活用されるべきである。

しかし、現実的には地域社会の変化や核家族化により、社会的養護を必要とする子どもが増加する中、虐待による影響など、様々な課題を抱えた子どもが多くなっている。一方このような子どもに対応できる里親が少ないこと、里親家庭においても家庭環境が変化していたり、里親制度への社会の理解不足から、里親委託が進まない事情がある。多様な子どもに対応できる様々な里親家庭、例えば、乳幼児、中・高校等高年齢児、障害のある子どもや非行児童などそれぞれに養育支援が可能な里親を開拓し、社会的養護の担い手としての里親の集団を形成することが望まれる。

現状においては、社会的養護を必要とする子どもの9割は施設養護となっており、里親等委託率(社会的養護を受ける子どものうち、里親及びファミリーホームへの委託の割合)の引上げが必要である。
併せて、児童養護施設等においてもできるだけ家庭的な養育を目指して養育単位の小規模化を推進していくことが必要である。

2.里親委託優先の原則

家族は、社会の基本的集団であり、家族を基本とした家庭は子どもの成長、福祉及び保護にとって自然な環境である。このため、保護者による養育が不十分又は養育を受けることが望めない社会的養護のすべての子どもの代替的養護は、家庭的養護が望ましく、里親委託を優先して検討することを原則とするべきである。特に、乳幼児は安定した家族の関係の中で、愛着関係の基礎を作る時期であり、子どもが安心できる、温かく安定した家庭で養育されることが大切である。
社会的養護が必要な子どもを里親家庭に委託することにより、子どもの成長や発達にとって、

① 特定の大人との愛着関係の下で養育されることにより、自己の存在を受け入れられているという安心感の中で、自己肯定感を育むとともに、人との関係において不可欠な、基本的信頼感を獲得することができる、

② 里親家庭において、適切な家庭生活を体験する中で、家族それぞれのライフサイクルにおけるありようを学び、将来、家庭生活を築く上でのモデルとすることが期待できる、

③ 家庭生活の中で人との適切な関係の取り方を学んだり、身近な地域社会の中で、必要な社会性を養うとともに、豊かな生活経験を通じて生活技術を獲得することができる、

というような効果が期待できることから、社会的養護においては里親委託を優先して検討するべきである。

もっとも、社会的養護を必要とする子どもの数に対して、必要な里親の数の確保は不十分であり、また、様々な課題を抱える子どもに対して、対応できる里親も少ない現状から、施設養護の役割も大きいものがあり、里親の充実に努めるとともに、施設養護の質の充実に努めていく必要がある。

3.里親委託する子ども

里親に養育を委託する子どもは、新生児から高年齢児まですべての子どもが検討の対象とされるべきであり、多くの課題を持ち、社会的養護を必要としている子どもの多様さを重視し、子どもと最も適合した里親へ委託する。

(1)保護者による養育の可能性の有無
① 棄児、保護者が死亡し又は養育を望めず、他に養育できる親族等がいない子ども長期的な安定した養育環境が必要であり、養育里親への委託と併せて、養子縁組を希望する里親を検討する。特に、特別養子縁組や普通養子縁組により法的にも安定した親子関係を築くことが望ましい。

② 将来は、家庭引き取りが見込めるが、当面保護者による養育が望めない子ども家庭において、特定の大人との愛着関係の下で養育される中で、健全な心身の成長や発達を促すことが必要なことから、積極的に養育里親への委託を検討する。また、家庭復帰に向けて、保護者と子どもの関係調整のために、引き取り後の家庭生活を想定し、必要な支援を行う。

(2)子どもの年齢
① 新生児
特定の大人との愛着関係の下で養育されることが、子どもの心身の成長や発達には不可欠であり、今後の人格形成に多大な影響を与える時期でもあることから、長期的に実親の養育が望めない場合は、子どもにとって安定し継続した家庭的な養育環境を提供することが必要である。
また、委託の期間が限定されている場合も、特定の大人との関係を築くことは、健全な心身の成長や発達を促すことから、里親委託は有用である。
新生児については、障害の有無が明らかになる年齢を待ってから、里親委託を検討する考え方もあるが、心身の発達にとって大切な新生児の時期から里親委託を検討することが重要である。
また、望まない妊娠や若年の妊娠などハイリスクといわれる要支援家庭については、地域の保健機関や医療機関、子育て支援機関等と協力し、児童相談所が出産前から早期の相談支援に努める。

② 中学生や高校年齢の子ども
地域での生活や家庭生活の知識や技術を獲得するなどを通じ、今後の自立に向けた支援が可能である。また、子どもの状況に応じて、子どもが居住していた地域の里親に委託することにより、学校への通学や家庭での生活スタイルを大きく変えないで支援をすることができる。
高年齢児を希望する里親が少ないという実情もあるが、年齢の高い里親など、中学生や高校生に対応できる里親を開拓し積極的に活用する。
なお、子ども本人に里親家庭で生活する意義を説明し、動機付けを十分に行う必要がある。

(3)施設入所が長期化している子どもの措置変更
施設に長期間入所している子どもについては、施設が策定する毎年度の自立支援計画の見直しの際などには、児童相談所は適切な総合判断を行い、定期的に里親への委託を検討することが必要である。また、施設に配置されている家庭支援専門相談員や里親支援専門相談員等と連携し、里親委託の推進を行う。

① 乳児院から措置変更する子ども
できるだけ早い時期に家庭的な環境で、特定の大人との愛着関係の下で養育されることが子どもの心身の成長や発達には不可欠であり、積極的に活用する。
現状では、乳児院から里親への措置変更よりも、児童養護施設への措置変更が多いが、乳児院入所児童の措置変更を行う場合には、原則として、里親委託への措置変更を検討する。

② 施設入所が長期化している子ども
施設入所検討時、里親委託を検討したがうまく里親と適合せず施設に入所措置している場合を含め、施設での生活を継続しているすべての児童について、常に里親委託の検討を積極的に行う。

③ 1年以上(乳幼児は6か月)面会等保護者との交流がない子ども
保護者の生活状況等を調査し、家庭引き取りが難しい場合は、保護者に対し、子どもの成長・発達における家庭養護の必要性について十分説明を行い、里親制度についての理解を得る。

④ 保護者の面会はあるが、家庭引き取りが難しい子ども
里親委託においても、面会や外泊等の交流ができることを丁寧に説明し、子どもの成長・発達における家庭養護の必要性について理解を得る。

⑤ 法第28条措置の更新により長期化している子ども
保護者が引き続き虐待のおそれがあるとして法第28条措置の更新が継続している場合においても、子どもの成長や発達には家庭的な養護は必要であり、里親委託の可能性を検討する。

(4)短期委託が必要な子ども
保護者の傷病や出産等委託の期間が明確な子どもについては、短期での受け入れであれば受託可能な里親は比較的多いこともあり、積極的に里親委託を活用する。特に幼稚園等に通う幼児や学齢児、高年齢児は子どもが元々住んでいた地域での里親委託が可能であれば、引き続き通園や通学が可能となり、子どもにとっても大きく生活が変わらず、保護者との距離が近いことにより、子どもの情緒の安定や親子関係の安定が図られることもある。

(5)個別的な支援を必要とする子ども
① 虐待を受けた子どもや障害等があり、特別な支援を必要とする子ども
集団での対人関係や施設での生活になじめず、施設等では不調になるおそれがある場合、又は不調になった場合には、子どもの状態に適合した専門里親等が確保できる場合には、委託を検討する。

また、保護者がない、又は養育できないなどの子どものうち、虚弱、疾病、障害を有する子どもについては、最も適合する里親との調整を十分に行い、適切に養育できると認められる専門里親等が確保できる場合には、委託を検討する。

② 非行の問題を有する子ども
家庭復帰が困難で、かつ、施設の集団では対応が難しい場合は、子どもの状態に適合した専門里親等が確保できる場合には、委託を検討する。

(6)里親へ委託することが難しい子ども
すべての子どもは里親委託を優先して検討するが、次のような場合は当面、施設措置を検討する。

① 情緒行動上の問題が大きく、施設での専門的なケアが望ましい場合
② 保護者が里親委託に明確に反対している場合(法第28条措置を除く)
③ 不当な要求を行うなど対応が難しい保護者である場合
④ 子どもが里親委託に対して明確に反対の意向を示している場合
⑤ 里親と子どもが不調になり、施設でのケアが必要と判断された場合

4.保護者の理解

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(1)保護者への説明
保護者が養育できない場合、児童相談所が子どもの最善の利益となるよう里親や施設の選択を行うが、保護者へは十分説明を行い、里親委託について理解を求める。

特に、養育里親に委託することについて、保護者にとっては、「子どもを取られてしまうのではないか」「子どもが里親になついてしまうのではないか」「面会がしづらくなるのではないか」など里親委託へ不安を抱くことがあるので、以下の点を十分に説明する。

① 保護者へは里親制度、特に、養育里親と養子縁組を希望する里親との区別を説明し、里親は社会的養護の重要な担い手であり、児童相談所が引き続き支援を行う中で、保護者と協力し、子どもの養育を行うものであることを説明する。
② 養育里親による家庭的環境が子どもの健全な心身の発達や成長を促すものであることを説明し、社会的養護については、里親委託が原則であることを説明する。
③ 保護者との調整は基本的には児童相談所が行うが、対応困難な保護者等を除き、保護者と子どもとの面会や外泊、通信等については原則可能であることを説明し、その方法等については十分に保護者や里親と調整しておく。子どもや保護者の状況により、直接里親と保護者が連絡を取ることが不適切と判断した場合は、児童相談所が必要な調整等を行う。ただし、法第28条措置の場合や通信面会制限や接近禁止命令を受けた場合、対応が難しい保護者である場合、面会等が子どもの福祉を害する恐れがある場合は、児童相談所が面会等を適切と判断するまでは制限等することもできる。

(2)保護者の承諾
保護者の承諾については、児童福祉法第27条第4項で「親権を行う者又は未成年後見人の意に反して、これをとることができない」と定められている。これは、これらの者が反対の意思を表明している場合には措置の決定を強行できないという意味であり、積極的な承諾がなくても、反対の意思表明がなければ、児童福祉法上、里親委託の措置を行うことは可能である。ただし、できる限り承諾が得られるよう努めることは必要である。

① 保護者の行方不明や意向が確認できない場合
保護者の行方不明や意向が確認できない場合も、児童福祉法第27条第4項の保護者の意に反することは確認できないこととし、措置をとることは可能である。
なお、都道府県が客観性を必要と認めるときは、児童福祉法第27条第6項(児童福祉法施行令第32条)により、里親委託の援助方針を児童福祉審議会に諮り、意見を聴取することは有用である。
里親委託後、行方不明等の保護者が現れた場合は、里親制度の意義を説明し、理解を求める。

保護者と連絡がとれなくなる場合を想定し、事前に里親委託への措置変更について了承することが明文化されている場合は、その承諾の撤回が明示的にされるまでは、その意思表示は有効であり、保護者の意に反する場合に当たらない。

② 施設入所は承諾するが、里親委託に反対の意向が明確な場合
本来、子どもの最善の利益を優先し、児童相談所が措置先を決定する仕組みであり、里親か施設かを保護者が選ぶ仕組みになっていないことについて説明する。里親委託に難色を示す保護者には、(1)①②③について十分に説明し、里親委託が原則であることを説明して、理解を求める。
なお、最終的に理解が得られない場合は、家庭裁判所の承認を得て行う法第28条措置を除き、児童福祉法第27条第4項により、親権者の意に反しては同条第1項第3号の措置をとることはできないので、結果として里親委託はできないことになる。

③ 児童福祉法第28条による措置の場合
法第28条措置においても、里親委託を行うことは可能である。この場合、子どもの安全の確保や保護者とのトラブルを回避するために、委託先を明らかにしないことも可能である。また、保護者と十分に話し合い、子どもの養育方法について児童相談所の指導に従う意向が示された場合は、委託先を伝えることも可能である。
ただし、家庭裁判所への法第28条申立時に、里親委託することを明記しておくことが必要である。また、保護者に子どもの措置先を伝えない必要がある場合には、家庭裁判所に提出する資料のうち措置先に関する記載のある部分については非開示を希望する旨を明示するとともに、審判書に里親名等を記載しないよう希望を述べておく必要がある。

④ 里親委託後、保護者が反対の意向に変化した場合等
里親委託後、保護者が反対の意向に変化した場合や行方不明の保護者が現れて保護者の意に反することが判明した場合は、(1)①②③について丁寧に説明し、理解を求める。
児童虐待等不適切な養育により家庭引き取りが困難で、かつ、保護者と児童相談所の意見が対立している場合は、一時保護や委託一時保護にするなど、子どもの安全確保を優先した上で、児童福祉審議会の意見の聴取や法第28条の申立等の法的対応などを検討する。

また、子どもが里親家庭での生活を希望し、委託の継続を希望する場合は、子どもの意向を十分に聴いた上で、子どもの最善の利益を検討する。

5.里親への委託

(1)里親委託の共通事項
① 里親家庭の選定(マッチング)
里親に子どもを委託する場合は、子どもと里親の交流や関係調整を十分に行った上で委託の適否を含め判断を行うことが必要であるため、一定の期間が必要である。また、その子どもがこれまで育んできた人間関係や育った環境との連続性を大切にし、可能な限り、環境の変化を少なくするなどその連続性をできるだけ保てる里親に委託するよう努めることが望ましい。

子どもに関しては子どもの発達や特性、保護者との関係などアセスメントを行い、保護者との交流の有無や方法、委託の期間や保護者への対応方法などについて検討する。

里親に関しては、委託する子どもとの適合を重視し、里親の年齢、実子の養育経験、これまでの受託経験、幼児への養育が適した里親であるか、発達の遅れや障害等に対応できる里親であるか、また、保護者との対応が可能な里親であるかなど、里親の持つ特性や力量について考慮した上でマッチングを行う。特に、障害を有する子ども等で里親委託が望ましい場合は、経験豊富な里親を活用する。また、子どもの成長と養育者としての里親の体力を鑑み、里親委託を検討する。

なお、子どものアセスメントや里親と子どもの調整には、里親支援機関と連携することも有用である。

② 委託の打診と説明
里親委託を行う場合、里親に委託したい子どもの年齢、性別、発達の状況、委託期間の予定、保護者との交流等について伝え、里親家庭の状況や、実子や受託児童がいればその子どもの様子を確認した上で、受託可能かどうかについて打診する。受託可能という里親の意向が得られれば、具体的なケース説明を行う。なお、里親宅の家庭訪問を行うことは、里親家庭の直近の現状を改めて直接把握できることになり、有効である。

また、里親に対し、受託を断ることができることを伝え、受託できるかどうか、家族とも話し合い家族にも同意を得た上で受託の決定をするなど十分に考えてもらうことが大切である。

新生児委託や養子を前提にする場合は、保護者の意向が変わったり、子どもに障害や疾病が見つかることもあるので、里親には将来起こりうる変化について、十分に説明する。なお、説明の内容は記録することが望ましい。

③ 子どもと里親の面会等ilm08_ba07008-s.jpg
子どもと里親の面会では、児童相談所の子ども担当と里親担当が分かれる場合は、その役割を明確にする。子ども担当は、子どもに対し、面会についての事前説明や、里親や里親家庭についての紹介をした上で、里親との面会がうまく進むよう支援する。一方、子どもが里親委託を断ることができることも説明する。里親担当は、里親に対し、子どもについての情報や留意点を伝えた上で、面会がうまく進むよう支援する。

施設に入所している子どもの場合は、当該施設との調整を行い、子どもと里親の関係づくりを協力してもらうよう依頼する。受託する里親の不安を軽減するために初回の面会までに子どもの日常の様子や子どもの反応などを施設から伝えてもらうことも必要である。
家庭から里親委託する場合は、必要に応じて里親と子どもとの面会を実施する。

このように里親委託までには、面会や外出、外泊など行い、また、外泊中に児童相談所が家庭訪問などを行い、里親と子どもの状況等の把握に努める。子どもの気持ちを大切にしながら、子どもが安心できるよう支援し、里親と委託する児童との適合を調整することが重要であり、丁寧に準備を進めることが大切である。

里親委託にかかる調整の期間については、施設での面会や外出・外泊などの交流は里親側の負担等に配慮し、できるだけ長期にならないよう努め、長い場合でも概ね2、3か月程度を目安とする。子どもの不安感等にも配慮し、里親と子どもの両方の気持ちや状況を十分に把握し、交流を進める。委託開始は学齢児であれば学期の区切りに合わせるなど考慮することを踏まえ、里親と子どもの関係性を見極めた上で決定する。

なお、里親と児童相談所の子ども担当者、里親担当者、可能であれば保護者と、子どもの養育についての情報を共有し、常に連携できる体制を作っておくことも有用である。

また、里親には、委託の理由や経緯、子どもの発達や行動、保護者等家族の状況、養育の留意点や今後の見通しを説明するとともに、養育を適切に行うための必要な書類を交付し、里親など関係者と一緒に自立支援計画を立てることも必要である。

(2)養育里親へ委託する場合
保護者へは養育里親と養子縁組を希望する里親との違いを丁寧に説明し、長期に委託する場合や数週間や1年以内など短期間委託するなど、ニーズに応じた多様な里親委託ができることを説明し、理解を得ることが大切である。

また、家庭引き取りが可能な子どもだけでなく、何らかの形で保護者との関係を継続する場合は、定期的な面会や外出等の工夫や親子関係の再構築の支援を行うなど、親子関係が永続的なものになるよう配慮することが必要である。また、現実的には親子関係を結ぶことが困難な子どもの場合も、子どもの保護者への気持ちをくみ取り、配慮することが必要である。

短期委託する場合、子どもの生活の変化を最小限に抑える観点から、児童相談所は市町村等の協力を得て、必要な調査をし、できるだけ居住する地域の近くの里親に委託することが望ましい。

その場合において、緊急を要するケースの場合は、児童委員や社会福祉主事等からあらかじめ児童相談所長に電話等による連絡で了解を得ることによって仮委託とするなど、弾力的な運用に配慮する。なお、仮委託を行った場合は、速やかに子どもの状況や保護者の状況等を調査し、養育里親への正式な委託に切り替える。

なお、仮委託のみで終了した場合は、緊急の保護を必要とした事例とみなして、委託一時保護として処理することとする。
委託の措置理由が消滅したと考えられる時期には、児童相談所が保護者の状況を確認し、委託の解除等措置の円滑な実施に努める。また、家庭生活を体験することが望ましい児童福祉施設に入所している子どもについて、里親支援機関と協力する等により、夏休みや週末を利用して、養育里親へ委託を行う等積極的な運用をする。

(3)専門里親へ委託する場合
虐待等で深く傷ついている子ども、障害のある子どもや非行傾向のある子どもについては、アセスメントを丁寧に行い、慎重に委託を検討する。

専門里親に委託する子どもは、様々な行動上の問題を起こすことがある場合があり、児童相談所、施設や関係機関等と連携し、療育機関でのケアや治療を取り入れながら、委託された子どもと専門里親の調整を行い、きめ細やかな支援が必要である。特に、施設から措置変更で委託された場合は、必要に応じて、施設の指導員等子どもの担当職員やファミリーソーシャルワーカーに委託後の里親への助言や養育相談の支援を依頼する。

また、専門里親への委託期間は2年以内(必要と認めるときは、期間を超えて養育を継続することはできる)としているところであり、2年を経過した後の対応については、関係機関等で協議し、子どもへの説明等の時期を含め、速やかに対応する。

(4)養子縁組を希望する里親の場合
児童福祉における養子制度の意義は、保護者のない子ども又は家庭での養育が望めない子どもに温かい家庭を与え、かつその子どもの養育に法的安定性を与えることにより、子どもの健全な育成を図るものであることから、要保護児童対策の一環として、子どもと適合する養親と適正な養子縁組を結べるよう制度を活用する。

養子縁組を希望する里親の場合、子どもとの適合を見るために面会や外出等交流を重ね、里親の家族を含め、新しい家族となることの意志を確認する。

子どもとの面会等に際して、里親の呼び方など子どもへの紹介の方法はそれぞれの状況に応じて対応する。

また、養子里親の年齢は、子どもが成人したときに概ね65歳以下となるような年齢が望ましい。子どもの障害や病気は受け止めること、養子縁組の手続き中に保護者の意向が変わることがあることなどの理解を確認する。

養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組があり、特別養子縁組は実親との親子関係が切れ、戸籍上は長男・長女等と記載される。しかし、裁判所での審判決定によることは記載され、実親をたどることはできることを説明する。

また、特別養子縁組の手続きは、養親となる者が居住地の家庭裁判所に申し立てを行い、6か月以上の養育状況を踏まえ、審判により成立する。6か月の期間は申立時点から起算されるが、申し立てる前に、児童相談所から里親委託され、養育の状況が明らかな場合は、この限りではない。特別養子縁組は、父母による監護が著しく困難又は不適当である等特別の事情がある場合において、子どもの利益のために特に必要があると認められるときに成立するものであり、そのような場合には積極的に活用する。


なお、特別養子縁組の成立には、父母の同意が原則として必要とされるが、父母において子どもの利益を著しく害する事由がある等の場合には、父母の同意がなくても、家庭裁判所は特別養子縁組を成立させることができる(民法(明治29年法律第89号)第817条の6ただし書)。

(5)親族里親へ委託する場合等
親族里親は、両親等子どもを現に監護している者が死亡、行方不明、拘禁、疾病による入院等の状態になったことにより、これらの者による養育が期待できず、結果として施設への入所措置が余儀なくされる場合において、積極的に活用する。その子どもの福祉の観点から保護が必要な子どもを施設に入所させるよりも家庭的な環境の中で養育することが適当と決定した場合、扶養義務者(民法に定める扶養義務者をいう。)及びその配偶者である親族に子どもの養育を委託する制度である。なお、次の点に留意する。

① 委託について、「両親等子どもを現に監護している者が死亡、行方不明、拘禁、疾病による入院等の状態になったことにより、これらの者による養育が期待できない場合」には、精神疾患により養育できない場合なども含まれる。なお、実親がある場合は、実親による養育の可能性を十分に検討する。

② 本来親族は、民法第730条に「直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない」とあり、民法第877条第1項により、直系血族等には、子どもを扶養する義務がある。しかしながら、扶養義務がある場合であっても、親族に養育を委ねた場合に、その親族が経済的に生活が困窮するなど結果として施設への入所措置を余儀なくされる場合には、親族里親の制度を活用することにより、一般生活費等を支給し、親族により養育できるようにすることができる。

③ 親族里親は、保護者等がいる場合でも委託が可能となっているが、この場合、実親と親族の中で子どもの養育を行うのではなく、子どもを児童相談所が保護し、児童相談所が親族里親に委託するものであることを、実親及び親族に説明し、了解を得ることが必要である。

④ 扶養義務のない親族に対する里親委託については、養育里親が適用される。

⑤ 親族里親及び親族による養育里親の制度については、制度の内容や趣旨があまり知られていないことから、児童相談所において、相談者が制度を利用することが可能と見込まれるときは、制度について適切に説明を行うことが必要である。

(6)ファミリーホームへの委託
ファミリーホームは、里親や児童養護施設等の経験がある者が養育者となり、養育者の住居において、5、6人の子どもを養育する制度であり、里親と同様の家庭養護の担い手である。

ファミリーホームは、養育里親と同様の子どもが対象となるものであるが、子ども同士の相互作用を活かしつつ、複数の子どものいる環境の方がより適合しやすい子どもや、個人の里親には不安感を持つ保護者に対しても有用であることから、子どもの状況に応じてファミリーホームへの委託を検討する。

(7)特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託の留意点
未婚、若年出産など望まない妊娠による出産で養育できない・養育しないという保護者の意向が明確な場合には、妊娠中からの相談や出産直後の相談に応じ、出産した病院から直接里親の家庭へ委託する特別養子縁組を前提とした委託の方法が有用である。特別養子縁組は原則として6か月以上の養育状況を踏まえ、審判により成立するものであり、新生児を委託され、6か月を経過して裁判所に申し立てているので、1歳頃には子どもの権利関係の安定を図ることができる。

まず、当該保護者から相談を受け、養育を支援する制度の紹介や親族による養育が可能かなどを調査し、養育の意向の有無について丁寧に確認する。一方、特別養子縁組を前提とした新生児委託を希望する里親には、子どもの性別や親の事情を問わない、子どもの障害や病気は受け止める、保護者の意向が変わることがあることなどを説明し、理解が得られたかどうか確認することが必要である。なお、特別養子縁組が成立するまでは、実親も里親も立ち止まって考えることができる。

実親の妊娠中から里親委託まで切れ目のない支援で実親が安心して出産を迎え、里親と自然に親子関係をつくることができるのが、特別養子縁組を前提とした新生児の里親委託の特徴である。

(8)措置延長についての留意点
里親や関係機関の意見を聞き、あらかじめ保護者や児童の意向を確認し、児童相談所長が必要と認めるときは、児童福祉法第31条により満20歳に達するまでの間、委託を継続することができる。特に子どもの自立を図るために継続的な支援が必要とされる場合は積極的に措置延長を行うこととされており、具体的には

① 大学等や専門学校等に進学したが生活が不安定で継続的な養育が必要な子ども
② 就職又は福祉的就労をしたが生活が不安定で継続的な養育が必要な子ども
③ 障害や疾病等の理由により進学や就職が決まらない児童で継続的な養育が必要な子ども
などの場合、里親の意見を聞き、あらかじめ子ども、保護者の意向を確認するとともに、延長することが必要と判断された場合には活用する。

(9)里親と子どもが不調になった場合
里親と子どもの調整を十分に行ってから、里親委託し、委託後も児童相談所や里親支援機関等が援助を行った場合においても、里親と子どもが不調になることがある。子どもが里親と共に生活する中で、子どものそれまでの養育環境の影響や子どもの成長・発達に伴い、里親にとって子どもの養育に対する負担が高くなり、子どもとの関係がうまくいかなくなるといった様々な状況が起こりうる。また、不適切な養育が行われることも起こりうる。

不調の兆しをできるだけ早く把握するよう定期的な支援を行い、関係機関の協力も得ながら里親と子どもの関係を見守り、必要な場合には適切に介入していくことが大切である。

① 情報の共有・協議・支援
不調の兆しがある場合は、速やかに児童相談所の里親担当と子ども担当の双方が里親家庭の状況を共有し、協議する。家庭訪問や相談支援を行い、里親に対して必要な助言を継続的に実施することやレスパイトの利用を勧めるなど里親に休息をしてもらうこと、また、里親の相互交流の場であるサロンへの参加や里親支援機関等の相談支援の活用、さらには、子どもに対して児童相談所への通所指導を行うなど、できるだけ委託継続が図ることができるよう支援を行う。

② 委託解除
やむを得ない場合は、委託解除を検討する。里親支援で解決が見込まれず、委託継続が適切でないと判断される場合は、無理を重ねては、子どもにも里親にも不幸であり、委託解除による傷つきをおそれて委託や委託解除が過度に慎重になることのないように、適切に判断する。

委託解除を行う場合は、子どもへの必要な支援を検討するとともに、委託解除に至る過程での混乱や分離による傷つきへの対応として、児童相談所の児童心理司による支援も含め、委託解除の理由や今後の生活について丁寧に説明し、子どものケアを行う。それと同時に、里親に対し、委託解除の理由等について丁寧に説明するなど里親が持つ養育がうまくいかなかったことへの傷つきや、喪失感等里親のケアが重要である。不調の原因が里親自身にある場合、子どもにある場合、双方に原因がある場合、双方とも努力したけれど合わない場合もあることから、子どもや里親とそれぞれに対して一緒に振りかえり、前向きに今後につなげていくことが重要である。

6.里親の認定・登録について

ilm10_da13005-s.jpg里親制度は家庭での養育が欠ける子どもに温かい愛情と正しい理解をもって家庭に迎え入れて養育を行うものである。このため、里親は子どもの養育についての理解及び熱意並びに子どもに対する豊かな愛情を有していることなどが求められる。

また、里親には、子どもの福祉を理解し、社会的養護の担い手として関係機関等と協力し、子どもを養育することが求められ、その担い手としてふさわしい者が認定される。

従って、里親を希望する理由や動機が社会的養護の担い手としての責任の上にあるか、家族の理解や協力はあるのか、また、委託される子どもへの理解があるかなどを面談や家庭訪問等で調査し、認定する。しかし、社会的養護の制度の理解が低い場合、児童相談所など関係機関と協力することが難しい場合、希望理由が跡継ぎがほしい、老後の介護をしてほしい、夫婦関係を見直したいなどの里親希望者自身のためだけの場合は、認定が難しい。

(1)電話相談や問い合わせ時の留意点
里親希望者から最初に電話等で問い合わせを受けたときには、里親制度の目的や手続き、研修受講、里親認定申請後は都道府県の児童福祉審議会で審議されることなど丁寧な説明を行う。
また、里親制度を正しく理解してもらうために、里親に関する講演会や講座への参加を勧奨することも有用である。

(2)里親が認定申請を判断するインテーク面接の留意点
再度里親制度の趣旨や公の責任であることを丁寧に説明する。また、委託される子どもの状況で委託後に子どもの発達の遅れや障害が見つかること、受託後に里親の家族関係が揺れることがあることなど具体的に説明する。
養子縁組を希望する里親には、普通養子縁組と特別養子縁組の違い、子どもが持つ背景や実親への思いなどすべてを引き受ける必要があること、適切な時期の真実告知が必要であることなどを説明する。

(3)要件審査に当たっての留意点
申請書を受理したときは、里親希望者が適当かどうか調査し、速やかに認定の可否を決定しなければならない。
養育里親については、児童福祉法第34条の20第1項に定める欠格の事由に該当しないことのほか、児童福祉法施行規則第1条の35の要件を満たしていることが必要である。また、親がない又は親に適切に育てられない子どもを養育することについての理解及び熱意、並びに子どもに対する豊かな愛情を有していることなどに加え、以下の点にも留意して調査を行う。

① 里親の年齢
養育里親、専門里親は、養育可能な年齢であるかどうかを判断し、年齢の一律の上限は設けない。年齢の高い養育者であっても、中学生など高年齢の子どもを新規や短期で委託を検討するなど、子どもの多様なニーズに応えられる里親を認定、登録することは有意義である。
なお、養子縁組を前提とする里親の場合は、子どもが20歳に達した時、里親の年齢が概ね65歳以下であることが望ましい。また、特別養子縁組を希望する里親の場合は、25歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳に達していない場合においても、その者が20歳に達しているときは、この限りでない。

② 里親を希望する者が単身である場合
知識や経験を有する等子どもを適切に養育できると認められる者は認定して差し支えないが、養育する経済的な保証や養育を支援する環境等があるかなど確認する。

7.里親家庭への支援

里親への委託を推進するために、里親の居住する市区町村や里親支援機関、児童家庭支援センター等と連携し、里親の資質の向上を図るための研修や、里親への相談支援、里親の相互交流等の里親支援を行う。
里親に委託される子どもは、様々な背景を持つとともに、「中途からの養育」であることに伴う配慮を要することを理解する必要がある。

里親は社会的養護の担い手であり、養育に悩んだときに、一人で抱え込むのではなく、子育ての悩みを相談しながら、社会的につながりをもち、孤立しないことが重要である。また、独自の子育て観を優先せず、自らの養育を振り返るために、他者からの助言に耳を傾けることも必要である。
また、多様な里親の状況が把握され、里親と児童相談所と支援者との間に相互の信頼関係を築いていくことが、里親委託の推進と里親支援の前提となる。
里親支援は、養育のチームを作っていく意識で、各種の取組を行う。

(1)委託前の支援
円滑な里親委託を進めるため、一時保護所や施設等の職員の協力を得て、子どもとの交流や宿泊の体験などを通して、子どもと里親との関係づくりや子どもを迎える準備を支援する。また、子どもにとっても生活環境の変化を受け入れ、安心して里親家庭で生活できるよう、子どもに応じた支援を行う。緊急の委託の場合もあるが、子どもと里親の不安な気持ちを受け止め、また、関係機関等と連携しながら子どもと里親の相性等の確認を行うなど最適な里親委託等となるよう支援する。

(2)定期的な家庭訪問
委託後は、里親と子どもの関係は日々の生活のなかで、様々の状況に直面するので、児童相談所の担当者や里親支援機関の担当者が定期的に訪問し、里親と子どもの状況を確認し、相談支援を行う。

委託直後の2か月間は2週に1回程度、委託の2年後までは毎月ないし2か月に1回程度、その後は概ね年2回程度訪問する。そのほか、里親による養育が不安定になった場合などには、これに加えて必要に応じて訪問する。

委託直後は、不安になりやすい里親を支えるために、家庭訪問は特に重要であるが、その後においても、児童相談所や里親支援機関の担当者が、日頃から里親と顔なじみになり、養育の状況を共有していることが重要である。

定期的な家庭訪問は、児童相談所の里親担当職員、里親委託等推進員、施設の里親支援専門相談員が分担・連携して行う。例えば、委託直後は児童相談所の里親担当職員が重点的に訪問し、その後の定期的訪問は、施設の里親支援専門相談員が行うなど、役割を分担するとともに、情報の共有を頻繁かつ密接に行う。

里親委託等推進員や里親支援専門相談員が家庭訪問を行う場合は、初回は児童相談所の里親担当職員と同行しその後は単独で訪問することとしたり、児童相談所からの紹介文書をもって訪問するなど、役割や児童相談所との関係を説明するとともに、事前に里親の状況や委託児童のケース概要について、児童相談所の持つ情報を共有した上で、訪問することが必要である。
里親支援の家庭訪問は、里親家庭を支援するものであり、里親に子どもの養育状況について聞き、相談に応じ、必要な情報提供をするとともに、できる限り、子どもにも面会し、暮らしの状況や希望などについて聞き、相談に応じ、子どもの成長の状況を把握する。

また、訪問時には、自立支援計画に基づいた養育がなされているか、養育状況の報告を受けたり、養育に関する記録を里親から見せてもらうなどして確認する。特に中長期間の委託においては、適時自立支援計画を見直すことが必要であるが、この場合、里親や子どもの意見を十分に聞き、里親と共同して作成することも検討する。
(3)里親の相互交流
児童相談所は、里親支援機関等と連携し、里親と一緒に、里親による相互交流(里親サロン等)を定期的に企画する。情報交換や養育技術の向上を図るとともに、里親の孤立化を防止するため、参加を勧奨する。
(4)里親の研修
養育里親及び専門里親には、里親登録時の研修とともに、登録更新時の研修の制度がある。養子縁組里親及び親族里親にも、必要に応じ、養育里親の研修を活用する等により、適宜行う。このほか、里親の養育技術の向上のため、随時、研修の機会を提供する。
(5)地域の子育て情報の提供

① 保健センターや保育所、地域子育て支援拠点事業の活用など地域の社会資源を適宜情報提供する。併せて、市区町村の関係機関と連携し、里親の支援の協力を得ることも検討する。また、市役所等の手続きが円滑に進むよう、必要に応じ同行する。

② 里親に対し、子どもが通う幼稚園や学校等を訪問し、里親制度の理解を求め、協力を依頼するように指導する。必要な場合には、児童相談所の担当者は関係機関等を訪問し、調整を行う。

(6)里親の一時的な休息のための支援(レスパイト・ケア)
里親のレスパイト・ケアは里親が一時的な休息を必要としている場合には、次に留意しながら、積極的に活用する。

① レスパイト・ケアのため、児童養護施設や乳児院、他の里親等を利用する際は、子どもには事前に十分説明し、子どもが不安にならないよう配慮する。

② レスパイト・ケアは、個々のケースに応じて、必要と認められる日数の利用ができる。

③ レスパイト・ケアを円滑に実施するためには、里親に事前に制度の説明や手続きの方法と併せて、受け入れの施設や里親等を紹介しておく。また、児童相談所や里親支援機関等は、子どもの状況や里親の意見等を参考にして、実施する施設や里親等を選択する。

(7)相談
里親支援機関等と連携し、里親からの相談に応じるとともに、子どもの状態の把握や里親の気持ちを十分に聴くことが重要である。

里親には、複数の相談窓口を用意する。児童相談所の里親担当職員とその他の相談先について、連絡先と担当者名を記載した紙を渡し、担当者が交代したときは、新たに渡すようにする。
複数の窓口を用意する利点は、養育上の悩みに対して里親が複数の意見を聞きたい場合があることや、担当者との相性により相談しづらかったり、相談内容によっては、児童相談所には相談しづらいが、民間の相談先には相談しやすいこともあるからである。

(8)社会的養護を必要とする障害のある子どもの支援
里親に委託されている子どもが障害を有している場合に、その保護がより適切に行われると認められる場合は、障害児通所支援を受けさせ、又は情緒障害児短期治療施設に通所させることができることとされている。
この場合、児童相談所において十分検討し、また、市区町村、特別支援学校等との間で十分に連携を図ることが必要である。

(9)養子縁組の支援
養子縁組里親については、養子縁組の支援を行う。

特別養子縁組予定の場合は、6か月間の養育期間で問題が認められなければ、里親担当職員は、里親が家庭裁判所への特別養子縁組の申し立ての手続きをすることを支援する。子ども担当者は、保護者に家庭裁判所へ申し立ての手続きが開始したことを伝え、併せて、保護者に家庭裁判所による調査があることを伝える。

また、必要に応じて、養子縁組が成立した里親に対しても相談等の支援を行う。

(10)ファミリーホームへの支援
ファミリーホームは、里親と同様、養育者の家庭に子どもを迎え入れて養育を行う家庭養護であり、里親支援に準じて、研修や相互交流など、里親支援のネットワークの中で、必要な支援を行う。

8.子どもの権利擁護

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里親は子どもの最善の利益を実現する社会的養護の担い手であり、子どもにとって、最も近くで子どもの権利擁護を実践するものである。 子どもが里親家庭のもとで安全で安心して生活するとともに、子どもが自分の意見を述べることを保障することは、子どもの成長にとって重要である。里親に委託された子どもには「子どもの権利ノート」を配布し、これからの生活が安全で安心できるものであること、子どもが自分の意見を述べることができ、里親等大人と一緒に考えることができることなどを伝える。また、子どもが権利侵害にあった場合の届出の仕組みとして、児童相談所や都道府県等やその他相談機関の電話番号等を伝える。

里親には、里子同士のいじめや実子との衝突等、児童間暴力がある場合、里親だけで対応が困難なとき、早い段階で児童相談所に対応方法について相談する。併せて、「被措置児童等虐待対応ガイドライン」について、里親に対し、研修や講座等で周知する。

また、子ども同士が交流する里子の会等を行うことは、子どもの声を聞く権利の擁護とともに、子どもへの適切な援助を行うため役立つものである。

9.里親制度の普及と理解の促進

里親制度の普及促進については、市区町村や里親会と連携するなどして、市区町村等の広報への掲載や、パンフレットの作成・配布、里親経験者による講演や体験発表会などを行い、制度の普及に努め、新たな里親を開拓する。

その際、子育て支援や教育関係その他の市民活動と連携し、里親について知ってもらう勉強会を開催するなど、市民活動の地域への浸透力を活かして、社会的養護の担い手である里親の開拓に取り組むことが効果的である。

里親になろうとする動機は、子育てが好きとか、社会貢献をしたいとか、子どもがいないので子育てをしてみたいとか、自分の子育てに目途が立って余裕があるなど、様々であり、それぞれの動機を活かしながら、里親の開拓に取り組む。

また、里親制度について広く理解を広めることは、様々な場面で家庭養育を円滑に進めるために必要であり、社会全体で協力し、社会的養護を進めるための理解を促進する。




10.里親委託及び里親支援の体制整備

里親委託及び里親支援の体制整備については、次の事項に留意しながら、地域の実情に応じて推進する。

(1)担当職員の充実

① 児童相談所の里親担当職員
里親委託及び里親支援については、措置の実施主体である都道府県市(児童相談所)が中心を担うものであり、児童相談所では、専任又は兼任の里親担当職員が置かれているが、できる限り専任であることが望ましい。

里親担当職員は、児童のケースを担当するケース担当職員と密接に連携しつつ、児童相談所管内の登録里親及び委託里親とのコミュニケーションを良くし、里親委託等推進員や里親支援専門相談員とチームを組みながら、里親支援機関の協力を得て、里親委託及び里親支援の推進を図る。

② 里親委託等推進員
里親委託等推進員は、里親支援機関事業により置かれる職員であり、多くは非常勤職員で、児童相談所に置かれることが多いが、里親支援機関事業を委託された法人に置かれることもある。

里親委託等推進員は、児童相談所の里親担当職員を補助して、地域の里親委託及び里親支援を推進する。

③ 里親支援専門相談員(里親支援ソーシャルワーカー)
児童養護施設又は乳児院に置かれる里親支援専門相談員の趣旨は、児童相談所の機能を補完する役割を持つだけでなく、施設に地域支援の拠点機能を持たせ、施設と里親との新たなパートナーシップを構築するためのものである。

里親支援専門相談員に充てられる人材は、社会福祉士、精神保健福祉士、児童福祉司となる資格のある者又は施設(里親を含む。)において児童の養育に5年以上従事した者であって、里親制度への理解及びソーシャルワークの視点を有するものでなければならない。里親支援ソーシャルワークは、確立した業務方法があるものではなく、実践を積み重ねながら、その在り方を見いだし、里親支援ソーシャルワークの専門性を高めていく。

里親支援専門相談員の役割は、(a)所属施設の入所児童の里親委託の推進、(b)退所児童のアフターケアとしての里親支援、(c)所属施設からの退所児童以外を含めた地域支援としての里親支援の3つの役割を持つ。児童福祉法上、施設はアフターケアの機能を持つとともに、地域住民の相談に応じる機能を持つからである。

里親支援専門相談員は、子どもと里親の側に立って里親委託の推進と里親支援を行う専任の職員とし、施設の直接処遇の勤務ローテーションに入らないものとする。児童相談所の里親担当職員や里親委託等推進員と分担連携して、定期的な家庭訪問を行うほか、施設機能を活かした支援を含め、里親支援を行う。また、児童相談所の会議に出席して情報と課題を共有する。

里親支援専門相談員を配置する施設は、都道府県市が里親支援機関に指定し、里親支援の業務を行わせるという役割を明示することが望ましい。

また、児童家庭支援センターを附置する施設では、里親支援専門相談員は、センターを兼務し連動することが望ましい。

里親支援専門相談員は、新規里親開拓の活動や、里親サロンへの出席、未委託里親への訪問等も行い、日頃から地域の里親と顔なじみになり、施設に措置されている児童にふさわしい里親を探して、児童相談所が行う里親委託の事前調整を行う。また、里親支援専門相談員は、退所児童のアフターケアや、退所児童以外の地域支援として、里親家庭の定期的訪問、相談等、地域のソーシャルワーク活動を行う。その際、児童相談所との密接な連携が前提となる。

(2)里親支援機関
里親支援機関は、里親会、児童家庭支援センター、里親支援専門相談員を置く施設、公益法人やNPOなど、様々な主体が参加し、それぞれの特色に応じて、役割分担と連携を図り、里親制度の普及促進、里親委託推進、里親支援の事業を行う。

① 里親会
里親会は、里親の相互交流や経験豊富な里親の相談による養育技術の向上、里親の孤立化の防止のために重要な役割を持つ。 このため、会員相互の交流のみが目的の私的な団体ではなく、公益的な団体である。

このような役割を明示するため、都道府県市や地区の里親会は、委託費の有無にかかわらず、里親支援機関に指定することが望ましい。

また、このような役割から、「里親及びファミリーホーム養育指針」にも記載されているとおり、里親は里親会の活動に必ず参加するものとする。このため、都道府県市は、登録里親の氏名、住所、委託の有無などの基本情報を里親会に提供して、参加勧奨を行うことが必要である。
里親会の活動の充実のためには、事務局体制の充実が必要であることから、里親支援機関事業の里親委託等推進員、施設の里親支援専門相談員、児童家庭支援センターの職員は、里親会の事務局を担当することができる。
里親会の役員は、子どもの最善の利益のために、多様な考え方や事情を持つ里親相互のまとまりを良く保ち、里親の相互交流を通じた養育力の向上を図る。

② 児童家庭支援センター
児童家庭支援センターは、児童に関する家庭その他からの相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものに応じ、必要な助言を行うとともに、市町村の求めに応じ、技術的助言その他必要な援助を行うほか、要保護児童やその保護者に対する指導を行い、地域の児童、家庭の福祉の向上を図ることを目的としている。

児童家庭支援センターは、里親及びファミリーホームからの相談に応じる等、必要な支援を行うこともその業務に位置づけられているが、里親支援機関として指定し、意識的に里親支援の業務の分担と連携の関係を明確にすることが望ましい。

③ 里親支援専門相談員を置く施設
里親支援専門相談員を配置する児童養護施設又は乳児院については、地域でその活動を行いやすくするために、都道府県市が里親支援機関に指定し、里親支援の業務を行わせるという役割を明示することが望ましい。

④ 公益法人、NPO等
里親委託の推進や里親支援のために高い実力の発揮を期待できる公益法人やNPO等がある場合には、これを里親支援機関に定めることが効果的である。なお、補助制度としては、里親支援を中心とする児童家庭支援センターとすることも可能である。


(3)役割分担と連携
児童相談所の里親担当職員と、里親委託等推進員、里親支援専門相談員との間での役割分担や、児童相談所と里親支援機関との役割分担、里親支援機関の間での役割分担は、地域の実情に応じて、効果的に行えるよう、適切に工夫する。

行政事務や措置に直接係る業務、すなわち、
① 認定・登録に関する事務(里親の申請の受理、里親認定の決定・通知、里親の登録、更新等の受理等)、
② 委託に関する事務(里親委託の対象となる子どもの特定、子どものアセスメント、委託する里親の選定、里親委託の措置の決定、措置に当たっての里親や子どもへの説明、自立支援計画の策定等)、
③ 里親指導・連絡調整(養育上の指導、養育状況の把握、実親(保護者)との関係調整、レスパイト・ケアの利用決定、自立支援計画の見直し等)、
④ 里親委託の解除(委託解除の決定、解除に当たっての里親や子どもへの対応)
などは、児童相談所が直接に行う必要がある。


一方、それ以外の業務、すなわち、
① 新規里親の開拓(広報啓発、講演会、説明会、体験発表会等の開催等)
② 里親候補者の週末里親等の調整(子どもと里親候補者の交流機会等)
③ 里親への研修(登録時の研修、更新研修、その他の研修)
④ 里親委託の推進(未委託里親の状況や意向の把握、子どもに適合する里親を選定するための事前調整、里親委託の対象となる子どもの特定のための事前調整等)
⑤ 里親家庭への訪問相談、電話相談
⑥ レスパイト・ケアの調整
⑦ 里親サロンの運営(里親相互の交流)
⑧ 里親会活動への参加勧奨、活動支援
⑨ アフターケアとしての相談
などは、児童相談所の職員が直接行ったり、児童相談所に里親委託等推進員を配置して行うほか、里親支援機関(児童養護施設・乳児院(里親支援専門相談員)、児童家庭支援センター、里親会、公益法人、NPO等)を活用して積極的に推進する。

その際、地域の実情に応じ、各機関の特徴や得意分野を活かして、分担・連携する。なお、里親委託等推進員や里親支援専門相談員は、上記の全てにかかわることができる。

(4)里親支援機関と守秘義務
都道府県市の業務として、児童福祉法第11条第1項第2号へに「里親につき、その相談に応じ、必要な情報の提供、助言、研修その他の援助を行うこと」が規定されており、これが里親支援の業務を規定したものである。

また、同条第4項及び児童福祉法施行規則第1条の38で、当該業務に係る事務の全部又は一部を、都道府県知事(市長)が当該業務を適切に行うことができる者と認めた者に委託することができることとされており、都道府県市の里親支援の業務を委託して行わせる里親支援機関は、この規定に該当するものである。さらに、同法第11条第5項に、委託を受けた者の守秘義務が規定されており、この里親支援機関には、守秘義務が課されることになる。

なお、里親支援機関は、その性質に応じ、共有する個人情報の範囲に留意が必要であり、里親支援機関の里親委託等推進員や里親支援専門相談員には、登録里親や委託児童のケースの情報も十分に共有し、児童相談所の里親担当職員とチームで活動を行うことが望ましい。また、里親会には、登録里親の氏名、住所、委託の有無などの基本的な情報を共有することが必要である。

(5)市町村や子育て支援事業、各種の市民団体との連携
里親制度の普及や里親支援の充実のためには、市町村や各種の子育て支援事業、各種の市民団体との連携が重要であることから、関係者に里親制度についての理解を促進し、協力関係を構築する。

(6)里親委託等推進委員会
① 都道府県市の里親委託等推進委員会
都道府県市の里親委託等推進委員会は、児童相談所の里親担当職員、里親委託等推進員、施設の里親支援専門相談員、里親会の役員のほか、必要に応じ学識経験者等に参加を依頼して行う。都道府県市の単位で設けるほか、児童相談所の単位でも設ける。年2~3回以上の開催が望ましい。

里親委託等推進委員会は、各都道府県又は各児童相談所管内における里親委託等に関する目標を設定し、効果的な里親委託の推進及び里親支援の充実の方策について検討する。また、日頃から情報交換を密接に行い、困難事例への適切な対応方法について協議する。

里親委託等推進委員会の構成員は、事業の実施上知り得た子どもや里親等に関する秘密を正当な理由なく漏らしてはならない。

② 全国の里親委託等推進委員会
里親の養育技術の向上、里親支援、里親委託推進方策の向上のため、全国里親会において、里親関係者、学識経験者、施設関係者、行政関係者の参加により、全国里親委託等推進委員会を設ける。

全国の里親会や里親支援機関、児童相談所等を対象に調査を行い、里親からの相談事例、里子からの意見、児童相談所、里親支援機関等関係者からの情報等を基に、好事例集、困難事例集、マニュアル、里親研修資料を作成し、里親支援機関や児童相談所に提供する。里親支援機関のいわば全国センター的な役割を目指す。












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